【宅建士監修】注文住宅の吹き抜けで後悔した5つの理由!失敗しないためにデメリットを解説

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マイホームを注文住宅で建てるなら、吹き抜けのある間取りにすると決めている人もいますよね。開放感のあるリビングにすることで、居心地のよい空間を作り出せて、自然に家族が集まってくるといったイメージを抱いている人もいるかと思います。

たしかに吹き抜けのあるリビングは居心地がよく、家族の時間を大切にする人に適していますが、実際に導入した人の声を聞いてみると、後悔しているという人も少なくありません。そこでここでは、建ててから後悔しないように、注文住宅の吹き抜けをおすすめしない理由について解説していきます。

注文住宅で吹き抜けをおすすめしない5つの理由

吹き抜けのある注文住宅に対して、理想的な間取りと考えている人もいるかもしれませんが、イメージだけで吹き抜けを導入すると建ててから後悔することになりかねません。まずは、なぜ後悔することになるのか、吹き抜けをおすすめしない5つの理由をご紹介していきます。

  • 会話やキッチンの調理の匂いが2階まで届く
  • 冷暖房の効率が落ちて電気代が高くなる
  • 吹き抜け部分の清掃が難しい
  • 部屋が足りなくなった
  • 子どもが転落するリスクがある

この5つが、吹き抜けのある間取りをおすすめしない理由になります。それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

1階の会話やキッチンの調理の匂いが2階まで届く

吹き抜けのある注文住宅は、1階と2階の空間が繋がっているため、1階のキッチンから2階の子ども部屋に「ごはんできたよ」といった感じで呼びかけることができます。通常の間取りと比べて、それぞれの存在を感じやすく、おすすめのポイントでもあるのですが、一方でそれがそのままデメリットにもなります。

たとえば、夜勤明けで2階の寝室で寝ようとしているときに、1階で子どもが騒いでいたら、声がうるさくて眠れなくなることがあります。生活音が2階に届いてしまうことで、日々小さなストレスが積み重なり後悔するというわけです。

さらに、キッチンで調理をしているときの匂いが2階まで流れていき、2階に匂いが充満してしまうこともあります。匂いが広がりやすい焼肉をやったら、数日焼肉の匂いに包まれながら生活するといったことも起きてしまうのが、吹き抜けの大きなデメリットになります。

冷暖房の効率が落ちて電気代が高くなる

冷暖房は部屋の空間体積が小さいほど、効率的に部屋を冷やしたり温めたりできます。ところが吹き抜けの間取りにすると、リビングの空間体積が単純計算で2倍になってしまうため、冷暖房の効率が悪く、通常のリビングよりも電気代がかかってしまいます。

しかも冷やすのにも温めるのにも時間がかかり、すぐには快適な温度になりません。これを解決するにはよりパワーの強いエアコンを導入する必要があり、それによりエアコン本体の価格が高くなっており、電気代と合わせて出費が膨れ上がってしまいます。

収入に余裕があれば問題ありませんが、そうでないなら初期費用とランニングコストのことを考えて、吹き抜けのある間取りはおすすめしません。

吹き抜け部分の清掃が難しい

実際に吹き抜けのある間取りで暮らしはじめて、多くの人が後悔することになるのが吹き抜け部分の清掃が難しいという点にあります。窓が汚れても、梁にホコリが溜まっても簡単には掃除することができず、無理に掃除しようとした結果、高所から落下してケガする可能性もあります。

吹き抜けの窓は温度差により結露しやすく、カビが発生することもあるのですが、高所にあるためカビに気づかないまま生活しているケースも少なくありません。その結果、健康被害が発生することもあるというのも、おすすめしない理由になります。

部屋が足りなくなった

吹き抜けを導入する場合には、それだけ2階の床面積を減らすことになります。リビングが12畳だとすれば、そのまま吹き抜けにした場合に、2階から12畳分のスペースがなくなってしまうわけです。12畳となると、2部屋分(1部屋6畳の場合)に相当します。

本来であれば4LDKになる注文住宅も、2LDKや3LDKになってしまい、将来子どもが増えたときなどに部屋が足りなくて後悔することになります。もちろん間取りの工夫で部屋不足を解決することは可能ですが、吹き抜け部以外が圧迫された空間になりやすいということは頭に入れておきましょう。

子どもが転落するリスクがある

吹き抜けは1階のリビングと2階の廊下が繋がっているため、子どもが2階の廊下から身を乗り出して、転落するといったリスクがあります。もちろん手すりを設置するなど、ある程度の対策はできますが、それでも乗り越えてしまうのが子どもです。

転落リスクがあるとなると、少しの時間でも子どもにお留守番をお願いすることもできません。また、子どもがいたずらして、2階から1階におもちゃを投げてしまい、下にいた家族の誰かがケガをするといったリスクもあります。

これらは吹き抜けにしなければ回避できるリスクですから、これらのリスクの存在も吹き抜けをおすすめしない理由のひとつになります。

後悔しないために実施すべき対策

おすすめしない理由を読むことで、吹き抜けへの憧れが薄れてしまったかもしれませんが、上記でご紹介した理由は、対策をすることで大きな問題ではなくなることもあります。どのような対策を行えばいいのか、具体的な方法を見ていきましょう。

シーリングファンを設置する

冷暖房の効率を改善する方法として定番なのが、シーリングファンの設置です。空気は温められると空間の上側に溜まり、冷やされると空間の下側に溜まってしまうのですが、シーリングファンを使うことでこの空気を撹拌でき、部屋全体を均一の温度に保てるようになります。

室温が均一になることで、エアコンの冷暖房効率が上がり、電気代を抑えられるというわけです。さらにシーリングファンがあると、洗濯物を部屋干ししたときに早く乾きやすいといったメリットもあります。

ただし、シーリングファンは万能アイテムというわけではありません。そもそもエアコンの出力が不足している場合には、最適な室温に保つことができませんので、リビングの広さに適したエアコンを導入してください。

高気密・高断熱であることを優先させる

吹き抜けのある間取りにする場合には、高気密・高断熱であることにこだわってください。高気密・高断熱にすることで熱が室内から逃げ出しにくく、エアコンの効率がよくなり、天気のよい日であれば、冬でも太陽の光だけでポカポカした状態が続きます。

ただし、高気密・高断熱の家は価格が高くなりやすく、人によっては予算オーバーになってしまうかもしれません。それでも吹き抜けのある間取りで暮らしたいなら、高気密・高断熱は必須です。他の設備を諦めてでも、高気密・高断熱であることを優先させてください。

1年に1回は業者に清掃してもらう

吹き抜けは掃除が大変とお伝えしましたが、自分で掃除をするから大変なのであって、専門業者に依頼すれば安全かつきれいに掃除してもらえます。業者や吹き抜けの広さによって料金は異なりますが、5万〜7万円程度で照明や窓、窓枠、壁紙がきれいになります。

もちろん無理のない範囲で柄の長いモップなどを使って、日頃から掃除することも忘れないようにしてください。自分で掃除できない部分だけを業者に任せることで、出費を最小限に抑えられます。とはいえ、吹き抜けのある間取りにする場合には、この清掃費用は必要経費と考えておきましょう。

照明器具は交換できる位置に配置する

吹き抜けのある住宅での生活がスタートして、しばらく経ってから照明器具に手が届かないことに気づいて困ってしまうケースがあります。椅子や踏み台ではまったく手が届かず、脚立を使っても電球を交換できなくて、途方に暮れるなんてことも珍しくありません。

この場合も業者に依頼することになりますが、電球や照明を交換するだけで業者を呼ぶのはもったいないですよね。このような失敗をしないために大事なのは、照明器具を自分で交換できる位置に配置してもらうことです。

吹き抜けはおしゃれな空間ですので、照明にもこだわりたい気持ちもわかりますが、自分で交換できないというのは避けたいところです。図面やデザインを提示されたときに、照明器具をどのようにして交換するのか確認して、交換できない箇所がある場合には修正してもらいましょう。

転落防止対策をしておく

吹き抜けでの転落リスクを回避するために、2階や階段には下記のような転落防止対策をしておきましょう。

  • 手すりに転落防止ネットを取り付ける
  • 手すりにパネルを取り付ける
  • 柵の隙間を10cm以下にする

いずれも見栄えが悪くなってしまいますが、安全よりも大切なものはありません。さまざまなリスクを考慮したうえで、どのような状況であっても、幼い子や高齢者、ペットが転落しないように転落防止対策をしっかりと実施してください。

吹き抜け!おすすめの間取り

吹き抜けのある間取りにすると決めたら、次に間取りのイメージを固めていくことになりますが、はじめて間取りを決めるという人は、何から手を付けていいかわかりませんよね。そこでここでは、吹き抜けのあるおすすめの間取りを3つご紹介していきます。

吹き抜けをウッドデッキやテラスに繋げる

吹き抜けだけでもゆとりのある大きな空間になりますが、さらにウッドデッキやテラスと組み合わせることで、吹き抜けだけでは作り出せない開放的な空間を演出できます。ポイントはウッドデッキやテラスとリビングをつなぐ窓を、できるだけ大きくすることです。

窓が大きくなれば、それだけ多くの光を取り入れることができますし、家の内と外をシームレスに繋げることもできるので、限られた敷地をより広く活用できます。庭に十分な広さがあるなら、最近流行りのアウトサイドリビングと組み合わせるのもおすすめです。

リビング階段と組み合わせる

吹き抜けのある間取りにするなら、階段もリビングに設置するのがおすすめです。吹き抜けとリビング階段の組み合わせは、吹き抜けだけのリビングよりも開放感があり、しかも階段が明るくなるので、上り下りしやすくなるといったメリットもあります。

また、リビング階段にすることによって、家族は必ずリビングを通ってから自室に入ったり、外出したりすることになるので、自然に家族のコミュニケーションが増えます。その結果、家族そろってリビングでくつろぐ時間も増えて、家族の絆が強くなるといった効果も期待できます。

外の景色を考えて窓を配置する

吹き抜けの窓は、そこから見える景色も意識してレイアウトしましょう。最優先すべきは光の差し込みですが、窓から海や山、空などの風景を楽しめるようにしておくことで、リビングにいながら季節を感じられるようになります。

反対に気を付けなくてはいけないのが、隣の家や道路からの目線です。大きな窓を選ぶことで、開放感のある空間にできますが、それは外から見やすいことを意味します。家の中からどう見えるかだけでなく、家の外からどう見えるかも考慮して、吹き抜けのある間取りを決めてください。

まとめ

吹き抜けのある間取りは、開放感があって人気のある間取りのひとつですが、実際に暮らしてみると音や匂いが2階まで届いてしまったり、冷暖房の効率が下がってしまったりするなど、暮らしにくさを感じて後悔することが多々あります。

ただし、吹き抜けを採用するデメリットの多くが、対策することで解消できます。必須なのはシーリングファンを付けることと、高気密・高断熱の家にすることです。また、お子さんが小さいなら、転落防止のために手すりにネットを付けるなどの対策もしておきましょう。

また、ウッドデッキやリビング階段を組み合わせることで、さらに開放的で居心地のいい空間が手に入ります。安易に吹き抜けを導入するのはおすすめしませんが、家族が集まるリビングを手に入れたいなら、吹き抜けのある間取りも検討してみましょう。