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注文住宅で家を建てるときに、いくらでも予算があるという人はほとんどいませんよね。でも人生最大の買い物ですから妥協はしたくない。できるだけ出費を抑えつつも、満足度の高い家を建てたい。そんな人におすすめなのが地域密着型の工務店です。
工務店は大手ハウスメーカーよりも坪単価が安く、低予算でも理想の家を建てることができます。ただし、「安物買いの銭失い」という言葉があり、根拠のない安さはクオリティの低下につながるのではないかと不安になって、結局大手ハウスメーカーに依頼したというケースも少なくありません。
そこで、ここでは工務店で注文住宅を建てるときの坪単価と、なぜ工務店が大手ハウスメーカーよりも安く建てられるのかについて詳しくご紹介していきます。工務店かハウスメーカーで迷っている人はぜひ参考にしてください。
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合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹(1983年8月生まれ)。熊本学園大学を卒業後、飲料メーカーに就職。2013年に宅建を独学で取得し不動産会社へ転職。2023年3月に不動産専門webライター業で独立。実名記事の作成や監修を行う。
工務店の注文住宅の坪単価は45万円が相場
工務店で注文住宅を建てる場合の坪単価相場は約45万円/坪です。もちろんデザインや住宅設備によって変わってきますが、平均としてはそれくらいです。これに対して大手ハウスメーカーの坪単価は30万〜90万円と幅があります。
大手ハウスメーカーでも低価格の注文住宅を得意とする業者は、工務店よりも坪単価が安くなりますが、同じクオリティの注文住宅で比較した場合には、工務店はハウスメーカーの70%程度の予算で建てることができると言われています。
坪単価というのは1坪(約3.3㎡)あたりの建築費のことでで、坪単価に延床面積を掛けたものが建物の価格ということになります。
工務店での坪単価を45万円、ハウスメーカーでの坪単価を65万円とした場合、延床面積40坪の建物の本体価格は次のようになります。
坪単価 | 建物価格 | |
---|---|---|
工務店 | 45万円×40坪 | 1,800万円 |
ハウスメーカー | 65万円×40坪 | 2,600万円 |
なんと工務店とハウスメーカーで800万円も差が出る計算になります。800万円もあれば、最新の家電を揃えることができますし、新車を購入してもまだ余裕があります。注文住宅を建てるときに坪単価が安いことがいかに重要なのか、理解してもらえるかと思います。
ただ、ここまで価格が違ってくると、工務店は見えないところのクオリティが低かったり、立てた後にトラブルになったりするのではないかと不安になる人もいますよね。そこで、なぜ工務店の坪単価がこれほど安いのかについて次章で詳しく解説します。
ハウスメーカー・工務店の坪単価一覧
上記比べると大手ハウスメーカーは最安値でも40万円に対して工務店は30万前後になります。
工務店の坪単価が安い本当の理由
工務店の注文住宅は坪単価の安さが魅力ですが、どんなものでも適正な価格というものがあります。安さを重視ために質の悪い部材を使われたのでは、耐久性や耐震性などで不安が残りますし、使い勝手の悪い間取りに仕上がったら、日々の生活でストレスを感じることになります。
いくら工務店の坪単価がハウスメーカーよりも安くても、クオリティが下がったのでは意味がありません。でも安心してください。工務店の注文住宅が安いのには、きちんとした理由があります。
- 設備や部材にメリハリをつけられる
- 大手ハウスメーカーよりも経費が少ない
この2店が工務店の坪単価が安い理由です。それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
設備や部材にメリハリをつけられる
大手ハウスメーカーの注文住宅は、価格帯ごとにある程度の標準仕様が決まっています。その標準仕様に対してオプションを追加してオリジナルの家を完成させます。このときハイグレードタイプとスタンダードタイプを組み合わせるということができず、どちらかを選ぶしかありません。
スタンダードタイプはコストカットされており、どうしても満足度が下がりますので、こだわりの家にしたい場合にはハイグレードタイプを選ぶことになります。そうすると、あらゆる部品や設備のグレードが上がり、必然的に坪単価が上がってしまいます。
工務店の場合には標準仕様がなく、何もないところから家を作り上げていきます。このため、キッチンにはこだわって、寝室はシンプルにするといった組み合わせが可能になります。費用をかける場所とそうでない場所でメリハリをつけることができるわけです。
もちろん工務店でもすべてにおいてクオリティにこだわると、坪単価が大手ハウスメーカーよりも高くなることもあります。それでもあらかじめ予算を伝えておけば、その予算の範囲内でできることを柔軟に提案してくれるのも工務店の強みでもあります。
大手ハウスメーカーよりも経費が少ない
大手ハウスメーカーは誰もがその名前を知っていて、安心感がありますよね。では、なぜ私たちはそのメーカーの名前を知っているのでしょう?それはテレビCMやメディアなどに広告を出しているからです。人気の芸能人を使ってテレビCMを流し続けることで、知名度を高めています。
これはマーケティングのひとつですが、テレビCMやメディアに広告を出す場合には、莫大なお金がかかります。さらに大手ハウスメーカーは、実際に家を見ることができるモデルハウスやショールームなどの維持費や人件費などの経費が発生します。
他社との差別化を図るために、新商品の開発などもおこなっており、大手ハウスメーカーは家を売るために様々な経費が発生しており、その費用がすべて住宅の価格に上乗せされます。
地域に密着している工務店の場合には、広告費はそれほどかかりませんし、モデルハウスもショールームもなく、大手ハウスメーカーのように新商品の開発もしていません。シンプルに家を建てることだけに特化しているので、経費が少なく坪単価が安くなるというわけです。
坪単価の計算方法に気をつける
ここまでの説明で、工務店の坪単価が安いのには納得できる理由があることを理解してもらえたかと思います。
例えばA社の坪単価が40万円、B社の坪単価が45万円だったとします。同じ家を建てるとするなら、A社のほうが安くなる気がしますよね。ところが現実はB社のほうが総額は安くなることがあります。坪単価の算出方法がA社とB社で違うため、実際にこのようなことが起きます。
坪単価が安いほど「この業者で建てれば予算を抑えられる」という印象がつくので、どの業者も坪単価を下げるために様々な工夫をしています。
- 坪単価 = 建物価格 ÷ 延床面積
坪単価はこのように算出し、延床面積が大きくなれば同じ建物価格でも坪単価が下がる計算になります。このため、少しでも坪単価を下げたい業者は、本来は延床面積に加えないベランダやポーチも延床面積に含めて見せかけの坪単価を下げることがあります。
また、オプションは建物価格に含まないので、標準仕様のトイレやキッチンに低価格な設備を選定しておき
このタイプの建物なら坪単価は40万円でお得です
と宣伝することがあります。
でもいざ注文住宅を建てるとなると、それらの設備では満足できずアップグレードすることになるので、実際にかかる費用が膨れ上がってしまいます。このように見せかけで坪単価が安くても総額が高くなるというケースが多々あります。
坪単価は同じ業者の商品を比較するときには参考になりますが、違う業者で比較するときには役に立たないケースもあるということを頭に入れておいてください。
工務店で坪単価を抑えて注文住宅を建てるときのポイント
工務店の坪単価が安い理由として、自由度が高くメリハリのある予算の使い方ができるからとお伝えしましたが、反対にメリハリをつけなければ思ったほどは安くなりません。そこで、実際に工務店を利用するときに、どうすれば坪単価を下げられるのかを具体的な方法をご紹介します。
- 建物の凹凸を減らす
- 高機能な設備にこだわらない
- 建物を大きくしすぎない
注文住宅を少しでも安く、坪単価を抑えて建てたいなら、この3点を頭に入れて工務店の担当者と打ち合わせをしましょう。それぞれのポイントごとに解説していきます。
建物の凹凸を減らす
注文住宅の坪単価を下げたいのであれば、建物のデザインから凹凸を少しでも減らしましょう。
シンプルが安い!具体的には、1階と2階の床面積が同じシンプルな長方形の建物がおすすめです。1階よりも2階の床面積が狭くて凹凸がある建物のほうが個性的ですが、使う部材も多く工事が複雑になるため、建物価格が上がります。
ビルのような四角形の建物であれば、足場を組むのも簡単ですし、柱の数も少なくて済みます。もちろん、せっかく家を建てるなら外観にこだわりたいという人もいると思いますが、凹凸を増やせば増やすほど工期も長くなります。
凹凸が少ないほうがいいのは内装も同じで、室内の壁が増えれば増えるほど坪単価は上がります。例えば、リビングとダイニング、キッチンをそれぞれの空間ごとに仕切りを作るよりも、仕切りを取り除いたほうが坪単価は下がります。
シンプルにしすぎて満足度が下がってしまっては意味がありませんが、坪単価を下げたいのであれば可能な限りシンプルなデザインにする必要があります。予算が限られているというのであれば、凹凸を作らないことを意識して工務店の担当者に相談しましょう。
高機能な設備にこだわらない
建物価格の大部分を占めるのがキッチンやトイレ、浴室といった水回りの設備です。これらの設備は高機能なものほど便利になりますが、それだけ坪単価が上がります。カタログを見ていると、高機能な設備を欲しくなりますが、本当に必要なのかどうかよく考えて決めましょう。
床や壁などの内装材も同様で、これらもグレードによって値段が何倍も変わってきます。無垢の床材は見た目も美しく仕上がりますが価格は高く、坪単価を下げたいなら価格の安い合板を選ぶ必要があります。とはいえすべて妥協したのでは注文住宅の意味がありません。
すでにお伝えしましたように、場所ごとにメリハリをつけて家を建てられるのが工務店の魅力ですので、ここは譲れないという部分だけ高機能な設備や高級な部材を使用し、それほど重視していない部分では安価なものを使うなど工夫をして坪単価を下げましょう。
建物を大きくしすぎない
上記の2点は「低予算で家を建てるために坪単価を下げる」という視点でお話しましたが、3つ目は
低予算で家を建てるために坪単価を上げる
という話です。
坪単価は延床面積が広いほど低くなりますが、だからといって延床面積を広くするために建物を大きくすると、必要となる部材が増え、作業工数も増えるため家を建てるのにかかる費用総額は上がってしまいます。これでは本末転倒ですよね。
もちろん無理に小さな建物にする必要はありませんが、必要以上に大きくするのも避けたいところです。どんな家にも最適な広さというものがあります。
広すぎると掃除も大変ですし、光熱費も高くなります。8畳のリビングと12畳のリビングではエアコンにかかる電気代が大きく変わります。
広くなるとそれだけ収納スペースが増えるので、家の中がモノで溢れかえってしまったというケースもあります。これではとても快適な暮らしにはなりませんよね。
建物を小さくすると坪単価が上がってしまうので、損をしたような気分になるかもしれませんが、トータルの出費を抑えることができるので、できるだけコンパクトな作りを意識した家づくりを行いましょう。
まとめ
工務店と大手ハウスメーカーを比較したときに、工務店は大手ハウスメーカーの70%くらいの坪単価で家を建てることができます。大手ハウスメーカーよりも自由度が高いためコストカットをしやすく、さらには宣伝広告費などの経費が少ないためです。
工務店の坪単価相場は45万円/坪ですが、坪単価の計算には統一されたルールがなく、坪単価が安いからといって必ずしも費用総額が安くなるとは限りません。坪単価は業者選びの目安にはなりますが、あくまでも参考程度に考えておきましょう。
それでも工務店は大手ハウスメーカーよりも総額が安く、さらに予算に応じた提案をしてくれるなど、満足度の高い家づくりができます。大手は安心感がありますが、実績のある工務店を選べば地域密着型の工務店でも高い作業品質で家を建ててもらえます。
人生最大の買い物なので、失敗したくないからという思いから大手を選びがちですが、坪単価の安い工務店を利用すれば、数百万円のコストダウンになることもあります。限られた予算で満足できる注文住宅を建てたい人は、まずはネットの一括見積サービスで自分の好きな間取りを選んで複数社から見積もりをもらいましょう。
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