【宅建士監修】小屋裏収納のメリット・デメリット!面積・階段・費用の注意点

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注文住宅を建てるときに、できるだけ広い収納が欲しいという人に人気の小屋裏収納ですが、収納スペースの広さだけで導入を決めてしまうと、生活をスタートさせてから後悔する可能性があります。そうならないために、きちんと事前にデメリットも把握しておきたいところです。

そこでここでは、これから注文住宅を建てるという人のために、小屋裏収納のメリットとデメリットについて、詳しく解説していきます。導入するときの注意点も合わせてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

小屋裏収納のメリット

まずは小屋裏収納のメリットについてご紹介します。すでにわかっているという人もいるかもしれませんが、思わぬメリットもありますので、そのような人も目を通しておいてください。

  • 広い収納スペースを確保できる
  • 固定資産税の対象にならない
  • 子どもの遊び場になる
  • 雨漏りにすぐに気付ける

この4点が小屋裏収納のメリットになります。それぞれのメリットごとに詳しく解説していきます。

広い収納スペースを確保できる

小屋裏収納のある間取りにすることで、最も大きなメリットになるのが、広い収納スペースを確保できることにあります。ウォークインクローゼットや土間、パントリーなどとは比べものにならないくらい広いスペースを収納に使えるので、大きなクリスマスツリーも問題なく保管できます。

ちなみに小屋裏収納の床面積は「小屋裏収納がある階の床面積の1/2未満」、天井高さは「1.4m以下」といった条件があります。2階の天井裏スペースを、すべて小屋裏収納に使えるわけではなく、高さにも制限がありますのでご注意ください。

固定資産税の対象にならない

持ち家の固定資産税は延べ床面積に基づいて計算されますが、上記の条件を満たしている小屋裏収納であれば、延べ床面積に加算されず、固定資産税の対象になりません。それほど大きな金額ではありませんが、払い続けるものですので、わずかな金額でもメリットには違いありません。

同じ収納スペースでもウォークインクローゼットや押し入れなどは、延べ床面積にカウントされるうえ、居室やリビングなどが狭くなることを考えると、小屋裏収納はとても魅力的な収納スペースとなります。

子どもの遊び場になる

小屋裏収納は収納スペースということになりますが、収納以外に使っていけないわけではありません。たとえば、小学生低学年くらいまでなら、子どもの遊び場になります。天井の低さが秘密基地感を演出するので、大人でも趣味のスペースとして活用可能です。

ただし、居室ではないということで、エアコンの設置ができないなど、いくつかの制約が設けられています。収納スペースではなく、子どもの遊び場や趣味のスペースとして活用したい場合は、問題なく利用できるかハウスメーカーに相談してみましょう。

雨漏りにすぐに気付ける

小屋裏収納は、屋根の雨漏りに気づきやすいといったメリットもあります。本来であれば屋根裏は生活をするうえで「見えない場所」になるのですが、小屋裏収納にすることで、結果的にこまめに屋根裏のチェックができます。

もちろん見落としてしまう可能性もありますし、そもそも小屋裏収納にほとんど入らないというケースもあり、その場合には小屋裏収納のメリットを活かせません。少なくとも台風や大雨の後には屋根裏をチェックするように習慣づけてください。

小屋裏収納のデメリット

小屋裏収納のメリットはわかっているという人も、デメリットについてはあまり意識していないかもしれません。とても便利な小屋裏収納ですが、もちろんメリットばかりではなくデメリットもあります。

  • 荷物の出し入れが予想以上に大変
  • どこに何を保管したかわからなくなる
  • 外気温の影響を受けやすく保管に適さない物がある
  • 初期費用が上がってしまう

この4点が小屋裏収納のデメリットになります、それぞれのデメリットについて、どのような問題があるのか詳しく見ていきましょう。

荷物の出し入れが予想以上に大変

小屋裏収納は大きな荷物の保管に適していますが、階段を使って大きな荷物を出し入れすることになるので、両手がふさがってしまい、かなり危険な状態になります。また、階段の向きをよく考えて設置しないと、搬入や搬出時に荷物が天井にぶつかって、荷物の出し入れが予想以上に大変になります。

このため、小屋裏収納を導入する場合には、実際に搬出や搬入するときの動作をしっかりとシミュレーションし、無理なく荷物の出し入れができるように階段を設置しましょう。

どこに何を保管したかわからなくなる

出し入れが難しいだけでなく、広いスペースがあるがゆえに、どこに何を収納したのかがわからなくなるのも、小屋裏収納のデメリットになります。しかも、天井が低いため、探しものを見つける作業も大変です。

整理整頓や収納が得意という人であれば、小屋裏収納を有効活用できますが、あまり得意としていないという人には、タンスの肥やしならぬ小屋裏収納の肥やしになってしまいます。きちんと管理しきれる自信がないなら、導入は諦めたほうがいいかもしれません。

外気温の影響を受けやすく保管に適さない物がある

小屋裏収納は屋根の直下にあるスペースですので、外気温の影響を受けやすく、夏場は暑いだけでなく湿度も高くなるため、熱や湿気に弱いアイテムの保管には適していません。また、冬場は結露が発生しやすく、カビが生えてしまうこともあります。

結露は天井にも影響を与え、屋根材を劣化させてしまいます。結果的に家の寿命が縮まってしまったり、大規模なリフォームが必要になってしまったりして、思わぬ出費が発生する可能性もあります。

初期費用が上がってしまう

小屋裏収納は屋根裏のスペースを有効活用するだけだから、低コストで導入できると思っている人もいるかも知れません。ところが、荷物の保管に利用する空間ですので、壁面に断熱材を追加しなくてはいけませんし、耐震強度を確保するための補強もしなくてはいけません。

きちんと目的を持って小屋裏収納を導入するのであれば、初期費用が上がったとしても問題ありませんが、便利そうというだけで導入すると、結局ほとんど使わず後悔することにもなりかねません。そうならないためにも、必要性をしっかり検討したうえで、導入するかどうかを決めてください。

小屋裏収納とロフトは何が違う?

小屋裏収納に似たスペースに「ロフト」がありますが、小屋裏収納とロフトを混同している人もいるようですので、ここではどのような違いがあるのかについて解説していきます。

建築基準法で考えた場合、小屋裏収納もロフトも「小屋裏物置等」という扱いになります。ただし、不動産関係の業界においては、それぞれ明確な違いがあります。

小屋裏収納居室とは別の空間
ロフト居室内にある空間(居室の一部)

たとえば子ども部屋の天井を高くして、部分的に2層構造にした場合にはロフトになります。ロフトの場合には、子ども部屋のエアコンを使って空調管理できるので、就寝スペースとしても活用できます。

小屋裏収納は天井に開閉式の入口が設けられていることも多く、2階建ての場合には2階の廊下やホールからはしごなどを使ってアクセスします。基本的にはエアコンがない密閉空間になるため、夏場は気温も湿度も高くなり、生活するのには適していません。

このような違いがありますので、間取り提案依頼をするときに正しくイメージを共有するためにも、小屋裏収納とロフトを混同しないように注意してください。

小屋裏収納が向いているケース

ここまでの説明で、小屋裏収納のメリット・デメリットをしっかりとイメージできるようになったかと思います。ただ、これから建てる家に導入するかどうかで、まだ迷っている人もいますよね。そこでここでは、どのようなケースで小屋裏収納が向いているのかについてご紹介しておきます。

  • 小さな子どもがいる
  • 季節のアイテムが多い
  • コレクションしているものがある

お子さんがまだ小さい場合には、これから持ち物が増えていきます。服やおもちゃだけでなく、家族でキャンプに行くようになると、キャンプ道具も増えるかもしれません。小さな子どもがいて、これからどれだけ荷物が増えるのかわからないというケースでは、広いスペースを確保できる小屋裏収納はとても有効です。

小屋裏収納は中長期的な保管に適しているため、鯉のぼりやひな人形、冷暖房器具など季節のアイテムを多く持っているというケースにもおすすめです。ただし、大きなアイテムや重たいアイテムがある場合には、きちんと出し入れできる構造にしておかなくてはいけません。

また、レコードや模型などのコレクションがあるというケースも小屋裏収納がおすすめです。あまり取り出すことがなくても、所有していることが大事というものがいくつもある場合には、小屋裏収納に保管しましょう。

小屋裏収納を作るときの注意点

小屋裏収納を導入するときには、注意しなくてはいけない点がいくつかあります。どのような点に注意しなくてはいけないのか見ていきましょう。

  • 断熱性能の高い家を建てる
  • 湿気対策を行う
  • 照明やコンセントを付けておく

これらの注意点について、内容を詳しく解説していきます。

断熱性能の高い家を建てる

小屋裏収納は結露が発生しやすいとお伝えしましたが、結露は断熱性能を上げることである程度は回避できます。小屋裏収納のある注文住宅を建てるときには、多少コストアップになったとしても、高気密・高断熱の家を選ぶようにしてください。

また、吹き抜けと組み合わせて小屋裏収納の空調管理ができるようにすることで、結露を防ぐこともできます。その場合も、空調効率を高めて電気代を抑えるために、高気密・高断熱が必須です。しっかりとお金をかけて断熱性能の高い家を建てましょう。

湿気対策を行う

夏になると小屋裏収納は、不快に感じるくらいに湿度が高くなります。そのままの状態にしておくと、保管物が劣化してしまいますので、必ず湿気対策も行ってください。定期的に出入り口を開放して換気したり、除湿機を設置したりするのもおすすめです。

また、荷物を置きすぎないことも重要です。荷物が詰まっていると、いくら換気しても空気が流れてくれません。また、カビが発生しやすい物を置く場合には、乾燥剤と一緒に保管するなどして、徹底した湿気対策を行ってください。

照明やコンセントを付けておく

小屋裏収納を収納スペースとして使う場合、コストを抑えるために照明を付けないことがありますが、これはできるだけ避けてください。照明がないと夜中に荷物を取り出すときに、懐中電灯などが必要になり、そのような状態で保管物を探すのは困難です。

また、掃除などのためにコンセントも付けておきましょう。ただし、地域によってはコンセントの設置がNGとなることもあります。その場合には、小屋裏収納の出入り口付近に、コンセントを用意してください。

まとめ

広い収納スペースを確保でき、子どもの遊び場にもできる小屋裏収納ですが、メリットだけではなくデメリットもあります。階段やはしごを使う必要があるため、ウォークインクローゼットや土間と比べると荷物を取り出しにくく、さらに湿気や結露にも注意が必要になります。

しかもコストアップにもなるうえに、用途を決めずに導入すると使わなくなった物の溜まり場になってしまう可能性もあります。そのようなことにならないように、本当に必要なのかしっかり検討したうえで、導入するかどうかを決めましょう。

また、実際に導入する場合には、注文住宅の価格が上がったとしても高断熱住宅にこだわるのがおすすめ。予算の都合で断熱性能を高くできない場合には、ウォークインクローゼットなど別の収納スペースの導入を検討してください。